【書籍紹介】M&A契約のおすすめ本紹介(7選)

4.SPA

※本記事にはアフィリエイトリンクを含みます。

はじめに

本記事ではM&A契約の書籍紹介を行います。各書籍の一般的な記載をするというよりは、私自身の経験や個人的な使いやすさに焦点を当てて記載していきます。

なお、運営者は財務DD・バリュエーション業務従事者であり、フィナンシャルアドバイザー(FA)やリーガルアドバイザー(LA)ではないため、あくまで参考という理解で読み進めていただけると嬉しいです。

本記事で紹介した書籍を参考にしつつ記載した記事はこちら↓

404 NOT FOUND | FAS CAMPA
FAS会計士のM&Aブログ ー FASで働く公認会計士がM&A業務に興味のある方やFASへの転職を志望される方に向けて、等身大の視点から関連情報を共有するサイトです

M&A契約の基本書籍

長島・大野・常松法律事務所「M&Aの契約実務」★★★★★

概要・おすすめ度理由

言わずと知れたM&A契約の基本書であり、M&A契約の内容を理解しておきたいM&A関係者であれば持っておきたい1冊。基本的な情報は網羅されていると思われるため、★★★★★とした。

おすすめポイント

  • 基本的な情報が網羅されており、各条項の内容及び条項間の関係性、留意点を理解することができる。
  • 条項サンプルが設けられており、各条項の基本形を理解することができる。
  • 次に紹介するMHM「M&A契約 モデル条項と解説」より、各条項の解説が多くなされており(323ページ※索引除く)、記載の文量についてはこちらに軍配が上がる

留意点

  • 次に紹介するMHM「M&A契約 モデル条項と解説」と似た内容であり、率直に言って両者の書籍を持つ必要まではないと思われる。(もちろん両者間の記載は若干異なるため、ぜひ書店に寄って好みの書籍を選んでいただきたい。)
  • 次に紹介するMHM「M&A契約 モデル条項と解説」ではM&A契約のひな型が巻末資料として記載されているが、本書ではそのような巻末資料はなく、M&A契約の一覧性に劣る。

森・濱田松本法律事務所「M&A契約 モデル条項と解説」★★★★★

概要・おすすめ度理由

M&A契約の基本書であり、M&A契約の内容を理解しておきたいM&A関係者であれば持っておきたい1冊。基本的な情報は網羅されていると思われるため、★★★★★とした。

おすすめポイント

  • 基本的な情報が網羅されており、各条項の内容及び条項間の関係性、留意点を理解することができる。
  • 条項サンプルが設けられており、各条項の基本形を理解することができる。
  • 先に紹介した、NAT「M&Aの契約実務」にはない、条項モデルが巻末資料として設けられており、M&A契約のひな型を一覧することができる。

留意点

  • 先に紹介したNAT「M&Aの契約実務」と似た内容であり、率直に言って両者の書籍を持つ必要まではないと思われる。(もちろん両者間の記載は若干異なるため、ぜひ書店に寄って好みの書籍を選んでいただきたい。)
  • 先に紹介したNAT「M&Aの契約実務」では323ページ(※索引除く)の文量だが、本書では251ページ(※M&A契約のひな型除く)であり、各条項の解説文量という面では劣る。

東京国際法律事務所 森幹晴氏「クロスボーダーM&Aの契約実務」★★★★~★★★★★

概要・おすすめ度理由

クロスボーダーM&Aの契約実務に焦点を絞った書籍であり、クロスボーダーM&Aに関わる方であればほぼ必須書籍といえる。また、国内におけるM&Aの契約実務が(全てではないものの)欧米の契約実務の流れを汲んでいる面を考えれば、クロスボーダーM&Aに携わらない方にもおすすめできるため、★★★★~★★★★★とした。

おすすめポイント

  • 国内のM&A契約実務は欧米の契約実務の流れを汲んでおり、その意味でクロスボーダーのM&A契約実務を理解することは国内のM&A契約実務のより深い理解につながる意味で有用
  • 第3章第4節にある「表明保証違反の種類と傾向」の図表や、同章第11節「補償の請求期限の分布(欧米)」などの統計データの紹介や、公表されているM&A事例の紹介があり、実例を踏まえた解説となっている
  • 米国型、欧州型というように地域に分けて解説を加えているので案件(契約当事者)ごとに留意するべき点を理解できる
  • 英文のサンプル条項には、和訳も付されているため脳内リソースが割かれない

留意点

  • 個人的にはぜひ読んでいただきたい1冊だが、クロスボーダーに関わらないM&A関係者の方には★★★★★ほどのおすすめはできない

経営共創基盤 塩野誠氏、宮下和昌氏「事業担当者のための逆引きビジネス法務ハンドブック M&A契約書式編」★★★★~★★★★★

概要・おすすめ度理由

経営共創基盤の著者が事業担当者向けに記載した1冊。特に法律の専門家以外の方にとって、平易で理解しやすい内容となっているため、★★★★~★★★★★とした。

おすすめポイント

  • 株式譲渡契約、株式引受契約、合弁契約についての解説がなされており、実務上参考にしやすい形式となっている。
  • 上記の契約ごとにひな型と「交渉・ドラフト・レビューのポイント」が示されており、チェックリスト形式でリスクを潰しこんでいくことができる。
  • 事業担当者向けと謳っているだけあって、他の書籍と比べると小項目が設定されたり、太字で強調されていたりと形式面で読みやすい工夫がなされている。
  • 事業担当者向けと謳っているためか「会計及び税務上の処理」や「他の条項との関係」といった小項目を設けて言及がなされている点でかゆいところに手が届いている。

留意点

  • 実務的な細かい解説は他の書籍に譲っているため、アドバイザーとしてかかわる場合には本書だけでは不十分と考えられる(ただ、実務担当者の疑問への回答がまとめられているという点で有用といえる。)

M&A契約の基本書籍ではないが、より深い理解につながる書籍

アンダーソン・毛利・友常法律事務所「M&A実務の基礎」★★★~★★★★★

概要・おすすめ度理由

本書はM&A契約のみに焦点をあてた書籍ではなく、法務を中心にM&A実務全般の説明がなされた書籍である。そのため若手弁護士向けに執筆された書籍と思われ、本書籍のおすすめ度は個々人の状況によるため、★★★~★★★★★とした。

おすすめポイント

  • M&A全般の概要を説明しつつ各M&A契約条項の説明がなされているため、M&Aに携わり始めた方におすすめ
  • 説明がコンパクトで他の書籍に比べると読みやすい
  • M&A契約のみならず、第3章においてクロスボーダーM&AやDistressed M&A、公開買付け等の「M&Aに関する特殊問題」に関する解説もなされており、個人的に勉強になる。

留意点

  • M&A契約に限定した解説書ではないため、各条項の説明は基本的事項に終始しており、物足りなさを感じる場面があると想像される。M&A契約に限って言えば、他の書籍と併せて効果を発揮する書籍と思われる。

阿南剛氏、後藤高志氏、辻川昌徳氏「実務分析 M&A判例ハンドブック」★★★~★★★★★

概要・おすすめ度理由

実務を受けて発展を遂げるM&A契約について、その判例を分析することで留意するべき点や実務上の慣行を補足できる書籍であり、契約条項の理解が深まる1冊。ただ、内容としてややマニアックな可能性があり、おすすめできる対象者が限られるため、★★★~★★★★★とした。

おすすめポイント

  • M&A判例を分析することで、M&A契約の各条項が設定される理由や解釈等の理解が深まる

留意点

  • 内容がややマニアックであり、想定読者が限定される。
  • ほぼ文章のみの書籍であるため、読むのにややエネルギーを要する。

藤田友敬 編著「M&A契約研究-理論・実証研究とモデル契約条項」★★★~★★★★

概要・おすすめ度理由

「実務家と研究者による討論」により、M&A契約の理論的な説明や実務上の留意点等を明らかにしていく書籍である。個人的には興味深く読み進めていたものの、FDDやVal、FAといった法律の専門家ではない面々には積極的におすすめできる書籍ではないため、★★★~★★★★とした。

おすすめポイント

  • 包括的な説明→理論的な観点からのコメント→実務上のポイント」という流れでコメントがなされ、それらが会話形式で進んでいくため、読み進めるのにそこまでストレスがかからない

留意点

  • すべてが会話形式であり、ポイントのまとめ等はないため、内容を整理して脳内に取り込むのにやや時間がかかる
  • 内容としてマニアックであるため、万人におすすめできる書籍ではない。

番外編

上記では紹介していませんが、M&A法務の基本書としては下記2冊が挙げられる。ただ、私は価格面から購入しておらず、おすすめポイント等の説明ができないため、あくまでこうした書籍がある旨の記載にとどめる。

M&Aに携わる弁護士の方はほぼ保有されているのでしょうか。ぜひ教えてください。

森・濱田松本法律事務所「M&A法体系」

西村あさひ法律事務所「M&A法大全 上下巻」

おわりに

完全私見の内容ですので、人によっては評価が異なると思いますが、FDD・Valに従事している私の経験から勝手におすすめ度を付してみました。

もし「いやこの書籍はこのような使い方があるからもっとおすすめ度を上げた方がいい!」のような書籍があればぜひぜひご連絡いただければと思います。リモートメインとなった今、職場の人間とあまりそういったオタク的な会話もできていないので……。

FDDのおすすめ書籍について紹介した記事はこちらになりますので、興味のある方はぜひご一読ください。

【書籍紹介】財務デューデリジェンスのおすすめ本(6選)
※本記事にはアフィリエイトリンクを含みます。はじめに本稿では財務デューデリジェンス(以下、FDD)従事者及びFDDに興味ある方に向けて、FDD関連のおすすめ書籍の紹介をします。各書籍の一般的な記載をするというよりは、私自身...

質問はこちらまで↓。ではでは

よね | 会計士さんが質問を募集しています。
Querie.me 新たな発想を生み出す質問箱
タイトルとURLをコピーしました