【これさえあれば問題なし】FAS業務で登場する140用語紹介(アルファベット順)

1.全般

はじめに

本投稿では、業務で登場する単語についてまとめています(随時更新予定)。

私自身、FASに入社してプロマネからの指示やチーム内の会議で不明な用語が多すぎて???となり、業務にスムーズに入ることができなかった経験から、今回まとめることにいたしました。

趣旨

  1. これからFASに入社される方がスムーズに業務に入れるようにすること
  2. FASに興味のある方に向けて、面接対策の一環として役立てていただくこと
  3. 既にFAS業界に在籍している方が、本稿を活用して部下や後輩への教育コストを低減させること(例:このサイトに載っている用語は最低限頭に入れておいて)

留意点

  • FDD・Valに従事する運営者の周りで見聞きしている用語リストですので、M&Aプロセス全般に必要な用語が網羅されているわけではありません。
  • (あってはならないことですが)内容の誤りやスペルミス等があればご指摘ください。
  • Val、PPAの内容については、まだそこまで含められておりません。

用語一覧

Aからはじまる用語

  • AWF (Assembled Workforce):(集合的)人的資源。PPAで出てくる。CACとセットで押さえたい。
  • AMT:アンダーソン・毛利・友常法律事務所。4大(5大)法律事務所の一角。

Bからはじまる用語

  • BDD(Business Due Diligence):ビジネスデューデリジェンス。主には戦略コンサルの担当領域。
  • BBG:Bloombergの略称。情報プラットフォーム。
  • Binding Offer:(法的拘束力を伴った)買収提案書
  • Buyside:買い手
  • Buyout:バイアウト。買収のこと。売却することではない。売却と言いたいなら、(M&A or IPO) Exitが適切。誤って使用すると勉強不足がばれるので注意。
  • Bridge Loan:つなぎ融資。
  • basket:累計補償額の下限。DA・SPAで出てくる。cap, floor, de minimisと合わせて押さえたい。

Cからはじまる用語

  • Carve out:カーブアウト。直訳で「切り出す」という意味。一部門のみの事業譲渡や子会社の売却案件の場合に使用される。「カーブアウト案件」と言われたらこのこと。大変。
  • CAPEX (Capital expenditure):設備投資を表す造語。きゃぺっくす。
  • CoC条項:Change of Control条項。株主構成に大きな変更があった場合に契約解除できる条項のことで、SPA・DAにおいて売り手or対象会社に対応を求めるケースが多い。
  • CLI (Cash Like Item):キャッシュライクアイテム。個人的にこの略称はあまり見ない。
  • CP (Conditions Precedent):取引実行の前提条件。シーピー
  • CP (Commercial Paper):コマーシャルペーパー。短期の資金需要に対応するための手段の一つ。個人的にはシーピーと呼ばれるケースは少なく、コマーシャルペーパーとフルで呼ぶケースが多い。
  • Covenants:コベナンツ。制限条項や誓約条項。財務制限条項 (Financial Covenants)が代表例。
  • CS, CFS (Cash Flow Statement):キャッシュフロー計算書。CFと書いてしまうと、ただのキャッシュフローのことだと誤認させるので注意。
  • CIQ:S&P Capital IQの略称。情報プラットフォーム。
  • Closing:クロージング。権利の移転が行われるタイミング(株式譲渡の場合、資金と株式の受け渡し日)のこと。海外送金が絡むと謎の事態で着金が遅れ、関係者がバタバタすることになる。最後まで気を抜けない。
  • CMS (Cash Management System):キャッシュマネジメントシステム。連結グループ全体での資金管理システムのことを指す。カーブアウト案件のFDDにおいては、CMSの存在により資金の動きが見えづらくなる等、若干の手間が増える印象。M&A成立後にCMSから外れる影響等を加味しつつ分析を行うことになる。
  • CCC (Cash Conversion Cycle):キャッシュコンバージョンサイクル。仕入等への現金投入から現金化されるまでの期間を指す。売上債権回転期間+棚卸資産回転期間-仕入債務回転期間で算定する。
  • Clean Room, Non-clean Room:競争法の影響を受ける案件の場合、機密情報へのアクセスを制限する目的で設定される。買い手企業に見せることのできない情報はClean Roomにて開示される。アドバイザーからの報告タイミングによっては、Clean Room内の情報を基にした報告ができないケースもあるため、取り扱いには留意すること。アドバイザー側の実務としては、一度すべての情報を利用してレポートを作成した後、機密情報を含む内容には後から黒塗りをかける対応をするケースが多い。
  • CDD (Confirmatory Due Diligence):最終契約~クロージングまでの間に補足的に確認することを目的に実施するDD。比較的大型案件(契約~クロージングまでの期間が長い案件)で見られる。Commercial DDとどちらの話なのかは文脈で判断。
  • CDD (Commercial Due Diligence):BDDの一種。対象会社・事業を取り巻く外部環境が主に売上に与える影響の分析を行うDD。市場環境分析や顧客動向分析、競争環境の分析も含む。主に売上が分析対象。Confirmatory DDとどちらの話なのかは文脈で判断。ODD (Operational Due Diligence)とセットで押さえたい。
  • Completion Account方式:買収対価の調整方法の一つ。クロージング日時点の財務状態を基準にして価格を調整(対価を決定)する方式。対となる方式はLocked Box方式。
  • Control Premium:支配権プレミアム。Valで出てくる。
  • CAPM (Capital Asset Pricing Model):リスク資産の均衡市場価格に関する理論。キャップエム。
  • Cross border:クロスボーダー。クロボ・xボーダーとも。M&Aの文脈においては、譲受・譲渡企業のどちらかが海外企業の案件のことを指す。大変。In-out取引は、国内企業が海外企業を譲り受ける取引のことを、Out-in取引は海外企業が国内企業を譲り受ける取引のことを指す。
  • CAC (Capital Asset Charge):貢献資産コスト。キャック、キャピタルチャージということもある。PPAで出てくる。AWFとセットで押さえたい。
  • CAGR (Compound Annual Growth Rate):年複利成長率
  • cap:累計補償額の上限。DA・SPAで出てくる。basket, floor, de minimisと合わせて押さえたい。
  • Cash out:用法は2つあり、会社法におけるスクイーズアウト(現金を対価として少数株主を排除する行為なのでキャッシュアウトと言う)を指す場合と、キャッシュアウトフロー(単純に資金の流出)を指す場合がある。ちなみに、お金が無くなり資金繰りが回らなくなった状況はキャッシュショート(資金ショート)という。誤用を「稀によく見る」ので注意すること。

Dからはじまる用語

  • DA (Definitive Agreement):最終合意書。株式譲渡の場合はSPAというケースが多い。個人的には使い分けが面倒なので、DAと連呼することが多い。
  • DDR(Due Diligence Report):デューデリジェンスレポート。FDDR・TDDRのような使い方をする。
  • DDL (Debt, Debt Like item):デット及びデットライクアイテム。
  • DLI (Debt Like Item):デットライクアイテム。個人的にはあまり見ない略語
  • DLOM (Discount for Lack of Marketability):非流動性ディスカウント。Valで出てくる。
  • DLOC (Discount for Lack of Control):少数株主ディスカウント。Valで出てくる。
  • Deal Breaker:M&Aの文脈においては、M&Aの実行を取りやめざるを得ない決定的な要因のことをいう。Deal killer, Knock out factorともいうが、個人的にはDeal Breakerをよく聞く。
  • Disclosure Schedule:表明保証の例外事項を記載した書面。DAに添付される。Disclosure Letterとも。
  • de minimis:(個別事由の)補償額の下限のこと。DA・SPAで出てくる。basket, floor, capと合わせて押さえたい。デミニミス。
  • DTFA:デロイトトーマツフィナンシャルアドバイザリーのこと。Big4の一角。
  • Dry Powder:PEファンドの投資待機資金のこと。

Eからはじまる用語

  • Execution:NDA (CA) 締結後~クロージングまでのプロセスを指す。場合によってはLOI (MOU)後のことを指していることもある。
  • EO:Earn out条項。アーンアウト。所定の条件を満たした場合に買い手から売り手に追加で対価支払が行うとする条項。対義語でクローバック条項(一定の指標をクリアできなかった場合に、売り手から買い手に条件付き対価の返金が行われる条項)。なお、クローバック条項を実務で見たことはまだない。
  • Exclusive:独占交渉権、もしくは独占的にプロセスを勧められるというニュアンスで使用される。
  • EYSC:EY(アーンスト・アンド・ヤング)ストラテジーアンドコンサルティングのこと。Big4の一角。
  • ESA (Executive Service Agreement):経営委任契約。経営目標等をDeal実行後に就任を予定する経営者との間で締結する契約のこと。自ら経営を行わないPEファンド案件において見られる。
  • Eikon:エイコン。情報ベンダーの一つ。

Fからはじまる用語

  • FA (Financial Advisor):財務アドバイザー
  • FAS(Financial Advisory Service):財務アドバイザリーサービス。呼び方はファズ派とファス派に分かれる。私はその場の日和見だが、ファスというのが正しいのではないかと思っている。
  • FDD(Financial Due Diligence):財務デューデリジェンス
  • FDDR(Financial Due Diligence Report):財務デューデリジェンスレポート。SDDRやTDDRのような用法がある。
  • FCF (Free Cash Flow):フリーキャッシュフロー
  • FS:Financial Statement。財務諸表のこと。「カーブアウトFS」のような使用例が多い。
  • floor:累計補償額の下限。DA・SPAで出てくる。cap, basket, de minimisと合わせて押さえたい
  • FactSet:ファクトセット。情報ベンダーの一つ。

Gからはじまる用語

  • Gun-Jumping:ガンジャンピング。M&Aの文脈では、①当局への届出義務がある案件で届出を行わずにM&Aを実施してしまうこと、②当局の承認を得る前に当事者間でM&A計画の準備をしてしまう行為(機密情報のやり取りもこれに含む)を指す。Clean Room、独禁法、競争法あたりの用語とセットで押さえたい。なお、執筆時現在において国内で②での処分事例はまだないはず。フライングが由来。

Hからはじまる用語

  • Hold Back条項:対価の後払い条項のこと。売り手がリスクを負うことになるためか、実務上まだ見たことはない。JV等で売り手に何かしらのコミットをさせたいケースの場合には、アーンアウト条項を追加し、達成条件としてコミットさせたい財務指標or(非財務指標)を設定する方がいいと思われ、単純なHold Backが適用される(売り手がそれを受け入れる)ケースは比較的限定的なのではないかと邪推している(詳しい人教えてください)。

Iからはじまる用語

  • IRL (Information Request List):資料依頼リスト
  • IM (Information Memorandum):売却対象の企業・事業の詳細が記載された資料。アイエム。
  • IRR (Internal Rate of Return):内部収益率
  • Indemnity, Indemnification:略称インデム。SPAの補償(条項)のこと。

Kからはじまる用語

  • KoM (Kick off Meeting):キックオフミーティング。PJ開始時に関係者間で認識やスケジュールのすり合わせを行う。
  • KPI (Key Performance Indicator):企業や事業の目標を達成するための重要な業績評価指標
  • KBF (Key Buying Factor):購買決定要因のこと。顧客が商品の購買を決定する際に重視する要素。マーケティング用語。BDDで出てくる。
  • KOF (Knock out factor):ノックアウトファクター。ディールブレイカー、ディールキラーともいう。M&Aの文脈においては、M&Aの実行を取りやめざるを得ない決定的な要因のことをいう。個人的にはディールブレイカーの方がよく聞く。
  • KPMG FAS:Big4の一角。

Lからはじまる用語

  • LA (Legal Advisor):法務アドバイザー。いつでも返信がある。ローファームがもし質問に的確に返信できるメールbotを開発済みなのであれば、いち早く会計事務所にも共有してほしい。そうじゃないならご自愛ください。
  • LA (Loan Agreement):ローン契約
  • LBO (Leveraged BuyOut):レバレッジドバイアウト。借入を利用した買収を指す。LBO案件の場合、レンダーからのQ&A回答サポートをFDDチームが行うこともある。
  • LOI (Letter of Intent):基本合意書
  • LDD(Legal Due Diligence):法務デューデリジェンス
  • LTA (Long Term Agreement):売り手から買い手に対して提供される長期的なサービスのこと。LTSAとも言う。TSA(売り手から買い手に対して提供される暫定的なサービス)とセットで出てくる。PMIの文脈でよく登場してくる。
  • LTSA (Long Term Service Agreement):LTA参照。
  • Locked Box方式:買収対価の調整方法の一つ。SPA締結前の一定の基準日における財務状態により対価を決定する方式。対となる方式はCompletion Accounts方式。
  • LTM (Last Twelve Months):直近過去12か月。YTDとセットで出てくる。
  • LTV (Life Time Value):顧客生涯価値。マーケティング用語。BDDで出てくる。
  • Like for like分析:前年同期と同じ前提で比較する分析。実務上、前年同期に前提を合わせて分析を行うべき状況は限定的である理解をしている。

Mからはじまる用語

  • MAC (Material Adverse Change):重要な悪化のこと。SPAのMAC条項として出てくる言葉。MAE (Material Adverse Effect)ともいう。
  • MBO (Management BuyOut):経営陣による買収。私はまだ遭遇したことがない。
  • MC(Minimum Cash):最低現預金、必要現預金、必要最低現預金、必要手元資金。会社インタビューにおいては「必要手元資金」が最も意味の伝わりやすい感覚がある。
  • MOU (Memorandum of Understanding):基本合意書
  • M&A (Mergers & Acquisition):合併及び買収。エムアンドエーと言ったり、エムエーと言ったりする。
  • MEEM (Multi-Period Excess Earnings Method):超過収益法。MPEEMともいう。ミーム。インカムアプローチの評価手法の一つ。無形資産評価で最も一般的な手法。「事業全体から生じる利益-対象資産以外の事業用資産から生じる利益」の残余利益の現在価値を無形資産の価値とする手法。PPAで出てくる。RfRとセットで押さえたい。
  • Management Interview:マネジメントインタビュー。マネイン。IMやQ&Aでは得られない情報を入手するために実施されるもの。案件によっては書面によるQ&A回答をなるべく少なくし、「詳細はマネインでお問い合わせください」とだけ回答がある場合がある。その場合、マネインで多くのQAを回収する必要が出てくるので、DDチームとしては面倒なことになる。
  • Management Presentation:マネジメントプレゼンテーション。マネプレ。売り手の経営陣から買い手に対して行われるプレゼンのこと。買い手側としても、売り手に魅力的な買い手であることをアピールする機会となる。
  • MOM (Majority of Minority):一般株主の保有株式のうち、その過半数が公開買付けに応募されることを公開買付け成立条件とすること
  • MHM:森・濱田松本法律事務所のこと。4大(5大)法律事務所の一角。モリハマと略される場合もあり、その場合には皆が松本先生に思いを馳せている。

Nからはじまる用語

  • ND (Net Debt):ネットデット。純有利子負債。有利子負債+有利子負債同等物ー(余剰現預金+現金同等物)で算定される。現金等の方が有利子負債等よりも大きい場合、ネットキャッシュと言われる。
  • NDA (Non-Disclosure Agreement):秘密保持契約
  • NWC (Net Working Capital):純運転資本。単にWC(運転資本)ということもある。
  • Non name sheet:ノンネームシート。バイサイド向けに初期的な関心を誘発させるための資料。Teaserより簡素らしい。携わっている領域ではないので詳細は分からない。
  • NewCo:新会社設立を伴うM&A案件の場合、その新会社のことを指す言葉として使用する。ニューコ。新会社の名称が決まっていればその名称を使用する。
  • NA:西村あさひ法律事務所。4大(5大)法律事務所の一角。(Not Applicableとの誤解を避けるため)N&Aと表記するケースもある。エヌエー、ニシムラアサヒ等と呼ばれるイメージがある。
  • NOT:長島・大野・常松法律事務所。4大(5大)法律事務所の一角。NO&Tと表記するケースもある。エヌオーティー、ナガシマ等と呼ばれるイメージがある

Oからはじまる用語

  • ODD (Operational Due Diligence):オペレーショナルDD。BDDの一種。組織やオペレーション等内部環境の視点から行うDDのこと。CDDとセットで押さえたい。

Pからはじまる用語

  • PPA (Purchase Price Allocation):取得原価の配分のこと。監査法人とバチバチするらしい。
  • PMI (Post Merger Integration):買収後の経営統合のこと。PMIの主なサービスとして、Day100 or 100日プランといわれる。
  • PMO (Project Management Office):プロジェクトマネジメントオフィス。PJ遂行のために各分科会の円滑な運営を行う組織体。大型カーブアウトを伴う案件等で存在感を増す。
  • PQ、PP:パワークエリ、パワーピボットの略称として使用している。一般的な略称ではない気がする。
  • Proratable:比例配分のこと。「プロラタ」と言われているケースが多い。偏見では銀行の方々が使用しがち。事業再生局面で出てくるケースが多い。
  • Preliminary DD:プレDD。LOI締結前の限定的な情報で行うDDのこと。
  • PEファンド:Private Equity Fundのこと。案件難易度は高い。労働時間も増える。スライド枚数も増える。ファンド案件を経験するとファンド専門パートナーへの尊敬と疑念を抱く。
  • Pro-forma調整(PF調整):QoE分析(収益力分析)の一種。プロフォーマ調整。過去実績と将来計画の前提をそろえることが目的として行われる。事業計画の各種前提が過去から変化した点について、過去の損益を調整する。
  • Point of no return:引き返せない地点。M&Aの文脈においては、契約締結時点とクロージング時点を指すことが多い。
  • PwCアドバイザリー:Big4の一角。PwCAと表記されることも。

Qからはじまる用語

  • QoA (Quality of net Assets):純資産分析。キューオーエー。
  • QoE (Quality of earnings):正常収益力分析。本源的な収益力を把握するための手続き。大まかに正常化調整とプロフォーマ調整とに分かれる。キューオーイー。

Rからはじまる用語

  • RFP (Request for Proposal):提案依頼書
  • ROIC (Return on Invested Capital):投下資本利益率。ろいっく。
  • Representation and Warranty:表明保証条項。レプワラと略すことが多い。別の呼び方でレップス。
  • RfR (Relief from Royalty Method):ロイヤルティ免除法。インカムアプローチの一種。対象無形資産を所有していることで免除ロイヤルティの支払いが免除されるとし、当該免除額の現在価値を無形資産の価値として算定する方法。PPAで出てくる。MEEMとセットで押さえたい。
  • Revolver:LBOにおいて、買収後の営業活動に使用するために一時的に必要となる運転資金枠のことを指す際によく出てくる
  • Roll-up:ロールアップ戦略のことを指すケースが多い。主にPEファンドにおいて、既存投資先の同業他社やシナジーを持つ企業を買収する戦略のことを指す。シェアの拡大やシナジー効果の発現を意図して行われる手法。
  • Rf:リスクフリーレート

Sからはじまる用語

  • SS (Statements of Shareholder’s Equity):株主資本等変動計算書。S/S。
  • SPA (Share (Stock) Purchase Agreement):株式譲渡契約書。最終合意書という意味でDAと言われるケースがある。
  • SPEEDA:ユーザーベースが提供する情報プラットフォーム。日本企業に強い。
  • Structure:ストラクチャー。直訳では構造となるが、M&Aの文脈においてはM&Aの手法のことを指す。
  • Sellside:売り手
  • SHA (ShareHolders Agreement):株主間契約。関連語でタグアロング条項、ドラッグアロング条項。
  • SDDR(Sellside Due Diligence Report):セルサイドDDレポート。売り手が自ら行ったDDレポートのこと。ベンダーDDと同義とされることが多いが、厳密にはセルサイドDDは売り手のみを想定利用者として作成されるものと言われている(はず)。重ねての説明となるが、基本的にはVDDRと一緒くたに取り扱われる。関連語でセラーズDD。
  • SA (Standalone):M&Aの文脈におけるスタンドアロンとは、M&Aの対象となる会社・事業が独立した状態であることを指す言葉。PMIの文脈で使用される際は、スタンドアロンイシューとして案件成立後の各種問題(例えば従前のシステムが使用できなくなる等)として捉えられる。Valの文脈で使用される際は、スタンドアロンバリューとして、シナジー効果を含まない対象企業or事業の純粋な企業価値のことを指しているケースが多い。
  • Strategic buyer:ストラテジックバイヤー。名称の通り、事業戦略の観点から買収(を検討)する買い手のこと。事業会社の買い手を総称してストラテジックバイヤーということもある。シナジー効果を見込めるため、フィナンシャルバイヤーに比べて買収対価は高くなりがち。Bitの競合で事業会社がいる場合、より一層価格を意識しながらM&Aプロセスを推進することになる。対義語でフィナンシャルバイヤー(主にバイアウトファンドを指す)。
  • Sitevisit:サイトビジット。現地への視察のこと。製造業の工場等、重要な施設・拠点がある場合に実施される。マネイン・マネプレとセットで押さえたい。オフサイトと言われることもある。
  • SOW (Statement of Work):作業範囲記述書。会話においてはScopeをよく使用する印象。
  • Scope:作業範囲のこと。提案書において想定Scopeが明示されているのでPJ開始時に確認する。ただし、従前Scopeのままプロジェクトが進むとは限らずパートナーの安請け合いによってスタッフ陣の無間地獄列車が動き出すことも。追加報酬が得られればいいが…?

Tからはじまる用語

  • TDD(TAX Due Diligence):税務デューデリジェンス
  • TV (Terminal Value):継続価値。永続価値、残存価値などと記載するケースもある。
  • TSA (Transition Service Agreement):売り手から買い手に対して提供される暫定的なサービスのこと。LTAと一緒に出てくる用語。PMIの文脈で頻出。
  • TP (Transfer Pricing):移転価格
  • TOB (Take-Over Bid):株式公開買付
  • Teaser:バイサイド向けに初期的な関心を誘発させるための資料。ノンネームシートより詳細らしい。詳しいことは携わっていないので分からない。
  • TAB (TAX Amortization Benefit):無形資産償却による節税効果
  • Top Line:売上。トップライン。Bottom Line(純利益or純損失)とセットで押さえる。(売上って言えよ。)
  • TMI:TMI総合法律事務所。5大法律事務所の一角。ティーエムアイ。
  • TDnet:適時開示情報伝達システム

Vからはじまる用語

  • Val(Valuation):価値算定。算定するのは価値であって価格ではないことに注意。価格は算定するものではない。
  • VDR(Virtual Data Room):仮想データルーム。Web上で開示資料をやり取りするシステム。Intralinks、Datasiteなど。
  • VDDR(Vendor Due Diligence Report):ベンダーDDレポート。売り手が自ら行ったDDのレポートのこと。SDDRと同義とされることが多いが、厳密にはベンダーDDは売り手と買い手を想定利用者として作成されるもの(のはず)。重ねての説明となるが、基本的にはSDDRと一緒くたに取り扱われているケースが多い。
  • Value up:(投資後の)企業価値向上に資する活動全般のこと。おそらく和製英語。正式な資料で使用されるのはValue Creation。

Wからはじまる用語

  • WACC (Weighted Average Cost of Capital):ワック。加重平均資本コスト
  • WC (Working Capital):運転資本。NWC(純運転資本)ということもある。
  • WGL (Working Group List):関係者グループリスト。どちらかというとWPLを使用する。
  • WPL (Working Party List):関係者グループリスト。どちらかというとWPLを使用する。
  • WARA (Weighted Average Return on Assets):加重平均資産収益率
  • W&I (Warranty and Indemnity insurance):表明保証保険。ファンド解散時、Clean Exitを目的として案件増加中らしい(現状クロスボーダー案件中心)。なお、保険会社の引受審査にあたりDDチームへ様々な質問・要望が来る。

Yからはじまる用語

  • YTD (Year to Date):事業年度の開始から基準日までの期間。LTMとセットでおさえる。
  • yyyymmdd:日付。2022年10月26日であれば「20221026」と表す。なお、FASに限った用語ではない。

日本語

  • プルータス:企業価値評価・算定を行うFAS会社。Valの本が有名。使用例「プルータスの本見た?(激詰準備運動)」
  • 独禁法・競争法:独占禁止法・競争法(Competition Law)。M&Aの文脈においては、独占禁止法に基づく企業結合審査・企業結合ガイドライン・ガンジャンピングのことを指しているケースが多い。クロスボーダー案件の場合は、各国の各種合併ガイドライン等も指すことになる。ガンジャンピング、Clean Room等の用語とセットで押さえたい。
  • 第二会社方式:事業再生手法の一つ。事業再生局面にある企業を採算部分(部門)と不採算部分(部門)とに分け、採算部分を第二会社に移す一方、旧会社は清算等を行う手法。
  • 支援協:事業再生案件で耳にする。中小企業再生支援協議会。現在は支援協と経営改善支援センターを統合し、中小企業活性化協議会へと変更されている(ご指摘いただきありがとうございます)

番外編

  • チェリーピッキング:自説に都合のいい根拠だけを選び取ること。プロフェッショナルとして大問題。
  • criteria:クライテリア。評価基準。判断基準。
  • クラリ:clarifyの略。明確にする、はっきりするという意味。
  • ファシっといて:ファシリテーション(Facilitation)の変形。会議をうまいこと進めといてという意味。「軽く」言われることが多い「軽い」空気感のある言葉だが、実際にファシるのはなかなかハードルが高い。だまされるな。
  • Apple to Apple:前提条件がそろっていること。使用例「それ、Apple to Appleの分析になってる?(激詰開始の号砲)」前提条件がそろっていないことは、Apple to Orangeという。個人的には「それって前提そろってる?」って聞けばいいのにと思っている。

おわりに

FASに入って面食らった用語についてまとめてみました。こういう用語もあると嬉しい!というご要望があればお気軽にご連絡ください!随時更新していきます!

よね | 会計士さんが質問を募集しています。
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